窓の外で、パタパタと鳥の羽ばたく音が聞こえ、黒い影がおそらく2羽、近くまで来たような気がした。キーキーけたたましく鳴いているので、窓の外を覗くと、つぐみみたいな鳥が一羽、こちらを見ながら鳴き続けている。窓を少し開けてみたが、逃げる気配もなく、ほんの2mくらい離れたところから私の方を見てキーキー鳴き続ける。

やはりもう一羽近くに来ていそうだ。周りを見回してみるが、見当たらない。鳴く鳥をじっと見つめてみるが、依然として鳴き続けるだけだ。鳥の方も私から一度も目を離さない。至近距離で人間に向かって鳴き続けているのも尋常ではないので、もう一度さがしてみた。すると、窓と床の境目に、鳥の羽に覆われた丸い塊を発見した。ただ丸いネズミみたいな黒っぽい塊がじっとしている。頭も足も見えないのでどんな状態になっているのか全くわからない。窓を開けないと、私が身を乗り出すことができないが、開けると、鳥の足や羽がを挟んで怪我をさせてしまいそうだ。ひょっとして最初に少し窓を開けた時に挟んでしまったかもしれないと、心配になった。それにしても全く動かない。窓に当たって怪我したか、もしくは失神、最悪の場合もちょっと頭をよぎった。

棒でつついてみることにした。そうするにも、もう少し窓を開ける必要がある。ドキドキしながらそおっと窓を動かした瞬間、黒い毛玉はパッと飛び立ち、鳴いていた鳥も後に続いた。ああ、生きてて良かった。道路の向こうの木に止まって、キーキー鳴いた後、声は聞こえなくなった。